先憂後楽でゴー
時代の疾きこと風の如し。まったく以て時代の動くのが速くてイヤんなる。ソチの冬季五輪が始まり東京を始めとして普段雪の降らぬ地域に記録的な大雪が降ったりしたいま、もう現代のベートーベンの話などすっかり旧聞に属する話題となってしまった。そういうわけだから、現代のベートーベン？ んなもんベートーベン鈴木に決まっておるではないか。なんてな塩梅でバラクーダー的な日本全国酒飲み音頭的な話題をしたところで天下の憂いにすっかり遅れているのであってまことに情けない思いがするばかりだ。そういやかの夏目漱石大人は明治の御代になって新聞が毎日届くようになったことをして、空恐ろしい時代だ、みたような意見を呈したというからまあ、当節のようにとんでもない速度で情報が氾濫するもの至当、その速度についていけぬものは世の中から脱落するしかないのかも知らん。と、ここまで書いて余はとんでもないことに気がついたのである。なんとこの文章の結末を何も思いついておらんのであった！ 約束の十分間までは後まだ一分少々残っている。だが何も思いつかず、いまはただ十分を無為に消費したという実感が有るばかりである。そうしてまた、世の中の動く速度に呆気にとられるばかりである。だって今晩にはもう大雪の話題とて、都知事選の話題にかき消されて旧聞となってしまうのだからさあ。
